Fish & Chipsのこと。(Fish編)

Chips編に続いてFishについてお話しします。

ChipsはFishに比べれば早い段階でクリアすることが出来ました。

しかし、ベテランの天ぷら職人をしても、白身魚は最後の砦と言うほどに魚を上手く揚げることは難しいのです。


chipsの時とは違って、ヘストンの技法を真似ることは不可能でした。

彼は衣をソーダサイフォンに入れ、冷蔵庫で一晩冷やすという方法を取っており、私には
現実味のない方法でした。


ならばと言うわけで、普通のfish&chips屋さんがやっているであろう方法を調べることにしました。

材料は小麦粉、ベーキングパウダー、ビール、塩これだけです。

常々お話ししている通り、材料が少ないほど組み合わせや比率の選択は増え、個人差が出るものです。

小麦粉を薄力粉にするか、中力粉にするか、ベーキングパウダーをはたまたベーキングソーダにするのか、ビールは生かIPAか・・・などなど。


取り敢えずは、薄力粉、ベーキングパウダー、生ビールの組み合わせでやっていました。

しかし、本場で幾度も目にしているものと何かが違っていると感じていました。


ビスポークでは、出来たてを食べてもらうことができるので衣はサクサクしているように
見えます。
でも、それは長くは持たないのです。


ロンドンでは、よくテイクアウトをしていました。


メリルボンのSea Shellで買って宿で食べた時には、20分は経っていたと思いますが、衣は堅さを保っていました。たっぷりビネガーをかけていたのにもかかわらずです。


ここから、苦悩は始まりました。いくらお客さんが満足してくれていても、今までで一番のfish&chipsとブログに書いてくれても、私にはこれが完成品ではないと分かっているからです。


試行錯誤も限界かと思われた時、ロンドンの取材旅行の依頼がありました。私のオススメfish&chips屋を紹介するという企画です。


兼ねてから一番のお気に入りだったブリックレーンのPOPPIESを一押しにしました。
この道50年という職人さんと対談することが出来、色々と質問をするうち
衣にビールは入れていない!!ことが分かりました。


気づいたことはそれだけではありません。厨房の様子をみているうちに、揚げ方にもコツが要ることが分かってきたのです。


fish&chipsをメインに作り続けている厨房には、水槽のごときフライヤーがあって、
大きなタラの身であっても悠々と泳いでいるかのようです。


私の使っている鍋は小さく、魚の身と油の量が適切ではなかったのです。


要点は、衣を限りなく冷たくすることと、揚げ油の量を多くし、投入された魚の身が
素早く浮き上がってくるようにすることのようです。


衣は老舗とガストロパブの中間をとって、ビールと冷水を半々に入れました。

揚げ油をどうするかという問題は偶然に見つけることが出来ました。


小さめの切り身を2つ揚げた時、良い仕上がりになったのです。


ということは、厚みのある方をまず油に入れ、衣が凝固して浮き上がってきてから残りの身を投入することで、小さい身を2つ入れたという認識を油に与えることが出来ます。


こうしてまずまず満足のいくfish&chipsを作れるようになりました。



ただ揚げただけに見えたfish&chipsに、4年も費やしたわけですが

でもまだより良い方法はあるように思えます。



私にとって4年は長くても、そこに生涯をかけている人達がいるからです。


学ぶべきことは沢山あって、この冒険はまだまだ続くようです。
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# by bespoque | 2016-11-20 09:04 | brit foods | Trackback | Comments(0)

Fish & Chipsのこと。(Chips編)

告白すると、ビスポークを始めるまでFish&Chipsを作ったことがありませんでした。


にも関わらず、2012年の8月のブログで私は「Fish&Chipsを店の看板料理にして、東京No.1」を目指すと書いています。


あの頃はヘストンのやり方を可能な限り真似ていました。

まずはチップスの作り方です。

ヘストンの代名詞でもあるトリプルクックを採用しました。


1 沸騰した湯で5分間茹で、冷蔵庫で冷ます。

2 150℃の油で4分間揚げ、再び冷ます。

3 注文を受けてから、190℃の油で浮き上がってくるまで揚げる。

という具合です。


この方法で、カリッとしてホクっとしたチップスはほぼ完成したと思っています。


そしてついに、今年の4月にヘストンのチップスを食べました。

そのチップスは透き通っていて、カリっとを越えてまるでスナック菓子のようでした。
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これを食べてみて思ったことは、3つ星だからおいしいとか、高級な食材に手間をかけているから良いのだというものではないということです。



これはブリックレーンの老舗、Poppiesのチップスです。
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街のFish&Chips屋さんが、ヘストンのようなやり方をしているはずはありません。

水にさらしたジャガイモを、乾かしておいて低温から揚げるというやり方です。


Poppiesのチップスは素朴でしっとりとしていて、私はこれが大好きです。


新聞紙にクルリと包まれているそれに塩とビネガーを思いっきりかけて

チップフォークでつつきながら食べては、また食べ過ぎてしまったな・・・

と後悔したりする。


これこそが愛すべきソウルフードそのもの。


毎年ロンドンへ行っては、話題の店で最新の味を試してみたりするけれど


実のところ、私が一番好きなイギリスの味はチップスなのかもしれません。

all the best,


BESPOQUE





















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# by bespoque | 2016-11-11 19:45 | brit foods | Trackback | Comments(0)

アップルの魔力

りんごの季節となりました。


スティーブジョブス曰く、「客が求めるその先を読め。」とのことです。


ですから、アップルパイを焼こうと思うのです。

アップルパイは誰もが大好きで、それぞれにお気に入りがあるようです。


一番に浮かぶのは「アメリカンアップルパイ」でしょう。
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上面をクラストが覆っているタイプです。


次に、イギリス式のアップルクランブル。
バター、ブラウンシュガー、小麦粉で出来たクランブルがのっています。

スコットランド人の大家のおばさんが得意だったリンゴとブラックベリーのクランブルは、私の思い出の味です。
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もう一つのアップルパイは、フランス式のタルトです。
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これは「Chef's Table」というドキュメンタリーを見て作りました。
フランスのシェフ、アレクサンドル・クイヨンが娘と初めて作るタルトです。

タルト生地にアーモンドクリームを敷き、薄切りにしたリンゴを並べます。

その上に砂糖とバターを乗せることで表面をキャラメライズさせるのです。

仕上げに、シナモンスティックを削りかけて完成となります。


アメリカとイギリス式のトロリと蒸し焼きになったリンゴと比べ、フランス式は
生のリンゴの歯ごたえと酸味を味わうことが出来ます。


やはり紅玉がお勧めですが、近年、長野で生産されているブラムリーアップルも試してみたいところです。


暖かいパイに、たっぷりのクリーム。

郷愁に浸る10月です。


BESPOQUE
















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# by bespoque | 2016-10-13 12:00 | sweets | Trackback | Comments(0)

定休日の変更

定休日の変更をお知らせします。


9月より、定休日を毎週火曜日と水曜日とします。


ご理解のほどよろしくお願い致します。

BESPOQUE


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# by bespoque | 2016-09-01 09:13 | お知らせ | Trackback | Comments(0)

バッタのサンド?

先日、TV番組の取材を受けました。NHKワールドTVの「Trail to Tsukiji」という番組です。


毎回、海外に向けて日本の食材や食文化を紹介している番組だそうで、この回のテーマは「きゅうり」でした。


きゅうりを主役にした料理は多くはありません。そこで、キュウリのサンドイッチに白羽の矢が立ちました。


「なぜアフタヌーンティーには必ずキュウリのサンドイッチが登場するのか??」これはよく聞かれる質問です。

その昔アフタヌーンティーの地、イギリスではキュウリは高級品でした。

気候的に作れないからです。


ゲストにキュウリのサンドイッチを振る舞うというのは、「宅には広い菜園があって、温室もあるのざます」という意味であり、お金持ちの見栄だったのです。


ビスポークで人気の夏のカクテル「Pimm's」も同じくキュウリが入っています。これは6月下旬に始まるウインブルドンなど夏のスポーツ観戦に付き物で、野外で優雅にカクテルを飲みながらなど、貴族の嗜みだったわけです。



そして本題の撮影では二種のキュウリサンドを紹介することになりました。


一つはアフタヌーンティーサンドの定番クラシックバージョンです。

薄切りの耳を切った白い食パン(これが大事!)に、下にはバター、上にはマスタードを塗り、皮を剥いて薄切りにしたキュウリを挟んだもの。



そして、もう一つ私が是非とも提案したかったのが、ビスポークオリジナルの新作です。
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ライ麦パンに粒マスタード、キュウリとミントにマルドンの塩とレモンだけのこのミニマリズム。


「涼やか」としか言葉にできません。


常々思うに、材料が少ないほど味の調節は難しくなってきます。

このサンドイッチを作るにも、パンの種類、スプレッド、レイヤーなど、何パターンも試しました。


結果、単調なキュウリの味を引き締めるため底面にだけ自家製マスタードを塗り、上面はミントの香りを抜けさせるために、何も塗らないことにしました。



これで、完全自家製のキュウリサンドが完成したわけです。



夏らしく、瑞々しいこの一品は「the Grasshopper」(バッタ)と名付けることにしました。



ようやく出来た2016年のこの新作は、夏の限定メニューです。

夏が去ってしまう前に是非ともお試しいただきたいと思います。


BESPOQUE

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# by bespoque | 2016-08-31 13:52 | Trackback | Comments(0)


Gastro Pub in Tokyo Since 2012


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